サンパウロ新聞
伯国躍進に貢献する日系企業
健康食品
グリーンフーズ社
【 新工場落成 】
グリーンフーズ(平尾 健代表)の新工場落成式が今年3月5日午前11時からアルジャー市工業団地内で開催され、式典には日本から元在サンパウロ領事の島田友昭さんやジェネジオ・アルジャー市長、関係者約二百人が列席して盛大に行われた。
落成した新工場は総面積1万500百平方メートル、床面積1,850平方メートルで農務省、厚生省の認可を受け、無菌製造設備などを有する近代的食品工場だ。
平尾代表は「皆様の温かいご支援により漸くこの日を迎えることができました。
今後はプロポリス、アガリクスに加えてブラジル特有の薬草や熱帯果樹を原料とした「すぐれた健康食品」を世界に向けて普及していきたいと考えております。」と力強く挨拶した。
平尾代表が健康食品業界に参入して僅か10年目の快挙だ。
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【 失業をバネにして 】
平尾代表は1962年に岩手大学獣医学部を卒業して間もなく渡伯、ずっと畜産関係の仕事に携わってきた。
もっとも長く勤めたのは某社の25年、自分の会社と思い粉骨砕身の努力をして会社を盛り上げてきたつもりであったが、93年8月突然引導を渡され、僅かばかりの手切れ金をもらって事実上放り出された。
時に53歳、全く予期していなかった青天の霹靂に途方にくれた。
彼が失意のどん底にあるときコロニアの長老から「君は若くして「失業」というチャンスに恵まれたのだから、今後は何か事業をしたら良い。私の歳まで30年もある。」と言われ、目からウロコが取れたような気がした。
途中数々の模索と試行錯誤が続いたが、98年「グリーンフーズ社」を若い準二世比良明彦さんと設立。プロポリス、アガリクスを主とするブラジル特産健康食品の製造販売を開始した。
失意をバネとした不屈の精神と綿密な計画、たゆまぬ努力が今日の成功をもたらしたと言えよう。
【 事業の特徴と強さ 】
グリーンフーズ社は健康産業を主目的にしてブラジルの薬草類を製品化し、およそ90パーセントを日本へ向けて輸出している。
その経営方針は
@日本からの技術・情報をいち早く取り入れる。 A国内のみならず輸出に力を入れる。 B良質原料を使用して最高品質の商品を製造し、早く確実な対応で顧客を満足させる。 C各社員の能力を最大に発揮できるような社内環境作り。 D無借金経営。
これらの方針はいずれも事業の特徴と強さを象徴している。
無借金経営について平尾代表は「どの銀行も貸してくれなかったのが結果的には幸いした。」というが、そのためには並々ならぬ苦労と経営手腕が要求された筈だ。
飾らぬ真面目な顧客への対応と、高品質且つ安全な製品で常連の顧客を掴んでいるグリーンフーズ社は大きく躍進中だ。
【 地域社会とともに発展 】
@高齢化社会にマッチした「優れた美味しい健康食品」
A小動物用健康食品
B周辺農家が生産する農産物 の加工
三点を将来の目標としている。
平尾代表は「出稼ぎに行った農家の青年たちが帰ってきたときに受け皿となる産業を開発できないものか」と考えている。農産加工を手がけているのも地域社会とともに発展することを願っての事業である。新工場落成を記念して地域振興の一助にと、苦しい経営状態の中から1万レアイスを地元アルジャー文協へ寄付したという。
グリーンフーズは今回の工場落成によって漸く基礎が固まったばかりの若いベンチャー企業である。今後この地域に根付いて着実に発展し、ブラジルの健康産業を牽引していく役割を果たすよう成長を見守りたい。
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